令和7年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
2024年は立脚の年
2024年の世界情勢は、前年に引き続き歴史的な円安・ドル高が進行し、戦争や紛争による大国間の競争が加速するなど、混迷を極めた一年となりました。日本においては元旦に発生した能登半島地震とそれに伴う事故による激動の幕開けとなり、日や場所を選ばない災害大国日本において、かねてより進めてきたリスク分散型の事業経営の必要性を改めて痛感した出来事でした。FSXではおしぼりを12万本以上被災地に送る一方で、私自身も足を運び、直接被災者の方々からお話を伺う機会を得たことで、災害時のリスクや現実的な課題をより一層深く考える契機となりました。災害対策用品のラインナップを質・量ともに拡充し、平時には販売用に、災害時には社員の備蓄用品として運用する仕組みを開始しています。
2024年を振り返りますと、将来を見据えて社名変更に踏み切った2016年より取り組んできた、事業強化及びブランディング活動が確立し、成長ステージの入り口に立脚した一年となりました。成長のための事業投資によりコロナ禍前は赤字計上による経営改善に取り組むなかで、地道に進めてきた施策が結実し、2024年8月期決算では過去最高売上を達成しています。これもひとえにステークホルダーの皆様の、これまでのご支援・ご協力の賜物と存じます。この場をお借りして心より感謝申し上げます。
事業活動を具体的に見ていきますと、一つ目の大きなトピックスとしては、アメリカ市場での『VB-COSME-(ブイビーコスメ)』Oshiboriとおしぼり用冷温庫『REION(レイオン)』の発売が挙げられます。コロナ禍期間には、FSXの衛生技術『VB(ブイビー)』を海外にも対応できるよう応用開発に着手するとともに、アメリカ国内での特許や商標の取得、WEB サイトの設立、販売チャネルの整備を粛々と進めてきました。9月に初出展したアメリカ最大の日本食飲食店向け展示会では、西海岸・東海岸の主要都市において予想を上回る高い評価をいただいています。今後はグループ企業のFSX AMERICAにおいて本格的にECや物流体制を構築し、FSXの衛生技術とOSHIBORIのおもてなし精神を世界に発信していきます。
国内事業においては、全国各地の観光エリアや主要都市を中心とした販路開拓が順調に進むなか、国内観光市場におけるさらなる需要の掘り起こしと、業態開発のシナジー創生のため、地方創生ベンチャー(株)さとゆめの新事業に資本出資いたしました。今後も他企業様とのアライアンスに取り組み、国内観光市場における優位性の強化を目指してまいります。またFSXの基幹ブランドである『AROMA Premium』がコンシューマー間のSNSで話題になるなど、一般消費者にも認知が広がるなか、悪意のある模倣品により商標を侵害される出来事がありました。今後は、FSXの知的財産権を自社製品の強みとして謳い、しっかりとブランディングしてまいります。
一方で、達成できなかった課題や反省が残る一年でもありました。人手不足問題を解決する施策として取り組んだ生産加工機や販売管理プログラムでは、予想以上に開発が難航し、大きな成果を打ち出すことが出来ませんでした。また11月末には『AROMA Premium(シトラール)』において、一部香りが安定しない製品を確認し、品質維持の観点から一時販売停止の措置を取らせていただきました。お客様を始め関係者の皆様に大変ご迷惑をおかけしておりますこと、この場をお借りして改めてお詫び申し上げます。現在、外部アドバイザーを含めた品質保証員会を中心に、原因解明並びに再発防止に向けた詳細な調査研究を行っています。ここを立脚点とし、「安心・安全・安定」をキーワードに、検査体制の見直しや新たな規格基準の設定など、より一層の品質保証体制の改善・強化に努めてまいります。
2025年は表現の年
2025年のFSXは、弊社のミッションである「おもてなしの感動を創造する」を軸に、新たな成長ステージで、おもてなしの感動を“表現する”ことに全力を注いでまいります。
観光産業への参入を表明して以来積み上げてきた企業ブランディングを元に、FSXの世界観を体現する新事業を、世界遺産富士山の麓で展開してまいります。おしぼりの文化体験はもちろんのこと、ECとも連動したマーケティングやプロモーション、『VB-COSME-』の抗老化研究の最新の知見を落とし込んだ新しい製品ラインナップの拡充など、FSXが培ってきた技術と経験を全面移植した新事業となっています。日本の主要な観光地エリアから世界に向けて発信する新しいFSXの表現に、ぜひご期待ください。
海外事業については、少子高齢化という日本の人口動態を念頭に、OSHIBORIの海外マーケットを見据え、日本・アメリカ・アジアでのFSXの新しい基盤整備に取り組んでまいります。アメリカにおいてはFSX AMERICAと現地ディストリビューター様と密に連携を図りながら、ブランディングを高めFSX製品の認知を全米に広めます。また長年のおしぼりタオルの開発拠点であるベトナムにおいては、生産拠点の充実化を図るとともに、ベトナム国内のOSHIBORI市場開拓の準備も進めていきます。
労働集約型産業であるおしぼりを軸とする弊社において、利益を創出し、賃金向上や待遇改善など様々な課題に向き合う強い企業経営を目指し、2016年より組織体制の強化、人財教育の充実に地道に取り組んでいます。「正社員の年間休日120日」を目標とした社内プロジェクトもその一つとして、年内早期に実現させ、次代を担う人財研究やチームビルディングの強化に繋げていきたいと考えています。また産業全体の喫緊の課題である人手不足に対しては、ICT技術を統合したクラウドサービスをローンチし、作業の合理化、DX化を加速させてまいります。
そして祖業となるレンタルおしぼり事業においても、FSXのコア・コンピタンスを強化し、おもてなしの感動を表現してまいります。ハイエンド向けおしぼりの新規投入や、人気商品であるおしぼり用芳香剤『LARME(ラルム)』のリニューアル、『REION』の塗装改善、生産設備への投資のほか、抗ウイルス・抗菌技術『VB』のアップデートを予定しています。
FSXはおしぼりを軸に、創業の地・国立市を本拠地とすることは変わらないものと定義しています。2025年は国立市との新たな絆となる施策に取り組み、地元から国内外へと事業を拡げてまいります。私どものコア事業である「レンタルおしぼり」、主力とする技術・製品ブランド『VB/VB-COSME-』『REION』『ポケットおしぼり』を中核に、FSXグループスタッフ一同、情熱をもっておもてなしの感動を表現してまいります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
FSX株式会社
代表取締役社長 兼 最高経営責任者
藤波 克之