年頭所感

令和6年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

2023年は多動化の年

 2023年の世界情勢は、新型コロナウイルスによるパンデミックからの夜明けとなった一方で、資源の高騰やインフレが続き、侵攻や戦争による分断と対立が進む混沌とした一年となりました。国内のローカルと海外のグローバルを掛け合わせた「グローカル元年」と名付け、強固な事業基盤の確立に取り組んだ2023年は、FSX事業全般で多動化した1年となりました。コロナ禍期間に弛まず準備をし続けたことが結果として現れた1年でもあり、2023年度8月期決算では、2期連続で過去最高売上高・利益高を達成することができました。パンデミック期間を通じて一度も売上げを落とすことなく乗り切ることができましたのも、ステークホルダーの皆様のご支援・ご協力の賜物と存じます。この場をお借りして心より感謝申し上げます。

 具体的に見ていきますと、FSXの衛生技術ブランドである抗ウイルス・抗菌の『VB(ブイビー)』を進化させ、エイジングケアをサポートする機能を兼ね備えた特許技術『VB- COSME-(ブイビーコスメ)』を昨秋に発表いたしました。使うことで肌に対するエイジングケアが期待できる全国初の化粧品区分のおしぼりは、全く新しいアプローチでおしぼりの価値を高めるVBの新技術ブランドです。『AROMA Premium』を始めとするFSXの主力製品である3シリーズ(10製品)を「VB-COSME-」おしぼりに刷新し、化粧品製造許可工場としてリノベーションした山梨県上野原工場で量産を開始しています。同時に『ポケットおしぼり』のWEBサイトもオープンしています。今春にはラインナップを拡充し、本格的な事業活動の強化を目指すとともに、FSXの世界観を広く訴求してまいります。
 また昨年の大きなトピックとして、日本のおもてなし文化に係る「おしぼり活性化」へのチャレンジが挙げられます。コロナ禍の影響を受け、長く困難な状況が続くおしぼりレンタル産業の活性化に若手社員の成長、そして「OSHIBORI」を世界の公用語にする目標を掲げ、国際芸術祭「東京ビエンナーレ2023」に参画いたしました。1枚の布おしぼりをアート作品を載せる白いキャンバスと見立て、刺繍で表現した「アートおしぼり」と、日本の文化である「おしぼり」との共有のかたちを探るプロジェクト「おしぼりリンケージ」です。得意先提供店舗様や無印良品 銀座での展示等を通じ、多くの方におしぼりの価値をお伝えできたように感じています。また初めてのクラウドファンディングにも挑戦し、想定を超える多くのご支援や応援を賜りましたことは、望外の喜びでした。両プロジェクトを通じて、FSXのメンバーにとっては「経験」という大きな財産を得る事ができ、ご協力・ご支援を頂きました多くの皆様に重ねて御礼を申し上げます。
 またグローバルにおいては、北米とアジアの二軸を中心に、FSXグループ会社の新体制構築を進めることができました。弊社はこれまで国内・外への展開を見据え、知的財産制度に真摯に取り組んでまいりましたが、昨春には光栄にも、令和5年度知財功労賞「特許庁長官賞」を頂くことができました。これを励みに日本文化のおしぼりを軸としたグローバルな活動にもより一層チャレンジしてまいりますので、是非ご期待ください。

2024年は超克の年

 2024年のFSXは、コロナ禍の2021年に掲げた「おしぼりを再発明する」というビジョンを実行に移す一年となります。生産から配送、プロダクト、ICT、人事マネジメント等をアップデートし、常に過去のFSXを超えていく、強靭な組織体制を目指します。

 祖業のおしぼりレンタルを基盤とした弊社では、多種多様な高付加価値のおしぼりを製造しており、FSXの人気製品はコロナ禍を経て、国内外を問わず販路が拡がっています。現在、それらの生産性向上を目指し、需要増に対応する技術開発にも着手致しました。本年度は試験導入も視野に取り組んでまいります。今後は、環境特化型製品の上市と共に、更なる生産体制の他拠点化も検討してまいります。
 またICTにおいては、現在運用中の販売管理システムを、全面クラウド型に刷新するための開発を共同で進めています。そしてスマートフォンで撮影した画像からおしぼりの回収数を予測するFSXの特許技術『おしぼりAI』を、おしぼりの生産から配送、そして製品販売まで繋げる一連のDX化により、高い信頼性のもとで業務の合理化を図ってまいります。
 人事マネジメントにおいては、2021年より進めてきた一連の人財開発により、一人一人が自己の役割を意識して業務に臨む組織基盤が出来上がってまいりました。適材適所の社員配置やリクルーティングを含め、FSXで一緒に働く明確な人財確保につなげていくため、今春には、リクルーティングWEBサイトの開設を予定しています。また、年齢や性別に関係なく、長く働くことのできる企業風土を目指して、これまでも企業DC(企業型確定拠出年金)の導入や定年制度の引上げ、健康経営などに取り組んでまいりましたが、今年は年間休日総数を増やすための環境を整備してまいります。

 コロナを超克した2024年は、『VB/VB-COSME-』の多角的な研究をより事業軸で加速させ、FSXラボを起点にヘルスケア領域においても持続的な成長を目指してまいります。私たちのコア事業である「レンタルおしぼり」、主力とする『VB/VB-COSME-』『REION』『ポケットおしぼり』を中核とし、世界の公用語「OSHIBORI」を目指して、FSXグループスタッフ一同、おしぼりを再発明してまいります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2024年 1月 1日
FSX株式会社
代表取締役社長 兼 最高経営責任者
藤波 克之